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肩までのミディアムヘアーに、力強い目元はつり目、綺麗な鼻筋に小さな口元。写真の大月はクールな知的溢れる印象。
「大月美咲は私にメッセージを送ってきた」
変装好き社長は毎日変装する。本日は腰を丸めた気品ある婦人。老けメイクはアメリカ仕込みの特殊メイク並みに、再現されている。
【あたしに何かあったら、頼れる男性に子供を託してる。彼の手助けをお願いします】
大月刑事は万が一の場合を常に考える生徒だったと、社長の亀井が話続けている。
「頼れる男性との関係はぁぁ?」
聞きたいことを聞いてくれたのは、みつあみヘアーを色とりどりの輪ゴムで留め、原宿系ファッションを着こなす、きなこ。
「上司と部下」
亀井社長は端的に答える。聞きたいことはその先だけど、プライベートとミッションは分けなければならない。
「違う違う、ラブがあるかって。エマが」
チームワークが良くなるようにと、名称は砕けぎみにしている。私は小さく親指を立てる。甲高い声をひそめてきなこが囁く。
「アイス奢って?」
小さく頷き返す私を亀井社長の細い視線が注視している。聞き分けの悪い生徒を見るような視線。
「ラブのあるなしでヒーロは活躍しませんか?違いますよね?」
「おっしゃる通りです」
言い返して、変われていないことに気づく。周りに合わせるカメレオン女子は卒業したはずなのに・・・
🦸♀️🦸♀️🦸♀️🦸♀️
「きなこが思うに、いい女止まりじゃない?」
ワンボックスカーで目的地まで運転している私に、助手席で自撮りしまくっているきなこ。有名動画配信者で万人越えのファンがいる。5歳下の彼女の話に納得しているなんて。押せる女にはほど遠いな。
「任務が遂行したら伝えようと思う」
水島に想いを寄せていることを。水島の視線の先に映るのが私じゃなくても。
「ファイ、オー!!」
目的の場所が近づいてくる。真っ白な家々が建ち並び、その場所だけ別世界のような空間みたい。
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