猫嫌いの真相

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 犬か猫かと問われれば、ためらうことなく「犬」と答える。  〝僕のことを見捨てないで〟とばかりに尻尾を振って自分の存在をアピールする姿が健気で胸を打たれる。  猫はどうだ。人間様が自分を可愛がるのは当然といったすました態度に可愛げのなさを覚えるのだ。だから、猫は好きではない。  ところが、先にあるテレビ番組で、猫は相手が自分を受け入れるかどうかを見抜いて近づいているのだというのを知った(だから、犬みたいに誰でも尻尾を振ったりしないのだとも言える)。  そうなのだ。私はどうも猫が嫌いというわけではなさそうだ。だいたい、猫が自分に近寄ってくることなどほぼなく、〝人間様が自分を可愛がるのは当然〟という猫の態度を体験しているわけでもないのに、どうしてそんな印象を抱くのか……。  SNSだ。  猫のアイコンや猫の写真の投稿を見ると、私は嫌な気分になる。普段は「いいね!」をするアカウントのそれでも、猫が目に入れば、その投稿は無視を決めている。こちらはそれなりの時間をかけて文章を書いているのに、猫の写真というだけで、自分の投稿よりはるかに多くのリアクションがあるいうのは密かに傷つく。  また、あるYouTube動画では、SNS等のアカウントでどんな画像を使っている人が危ないかというテーマが語られ、動画内では触れられてなかったがコメント欄に「猫」と書き込んでいる人がいた。ーー私にも覚えがあった。  犬の、誰にでも尻尾を振るような態度は、節操がないし、裏切り行為のように見えなくもない。ただ、SNSでのオープンでドライなコミュニケーションには向いている気もする。  猫が好きな人は多いから、猫のアイコンや投稿をいいと思って集まる人も多いのかもしれないけれども、そのコミュニケーションはクローズでウエットになりがちなので、〝猫アイコンの人とちょっとしたことでトラブった〟などということがあるのかもしれない。  いや、当の猫たちにはそんなのは預かり知らないことだ。  今日も私は、飼い猫だか野良猫だかわからない近所の猫たちとにらみ合って、どちらが先に目をそらして逃げ出すか……勝負を競う。  猫が私になつくわけないって。    
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