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涼平がN社から帰社し、報告書をパソコンで作成していると遠慮がちなノックのあと美鈴が副社長室に入ってきた。 「真山副社長、こちら総務から回ってきた決裁文書です。それから…先ほどN社の野本社長からお電話があったのですが、私に副社長とお幸せにとおっしゃった事に関して、心当たりはございませんか。いえ、心当たりありますよねぇ。」 「それで笠井さんは何て答えたんだ。」 「どうせまた、私と付き合っているとか嘘ついてくれちゃったんだろうと思いましたので、ありがとうございますとは答えました。取引先に行って、何してくれちゃっているんですか。」 「いや、その…野本社長が娘との食事をセッティングしようとするから、彼女に怒られるって断っただけで、別に笠井さんとは言ってないし、あちらが勝手にそう思っただけだから。」 「なぜ、否定しないんですか。」 「笠井さんも野本社長に誘われるリスク減るし、俺も助かる。win-winな関係だと思うけど。」 「どこが。win-winですかっ。仕事しましょう。仕事。」 少し怒った顔も可愛くてつい怒らせてしまう。 そんな自分に小学生かよ?!と心の中でツッコミを入れている時間も楽しい涼平だった。
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