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「明日よりしばらく留守にします。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」 朝のミーティング時に優菜が、みんなに頭を下げる。 明日から2週間、社長は優菜を伴い、九州視察と言う名の旅行に行くのだ。 「大丈夫だから旅行、楽しんで来てね。」 「半分、視察だけど。」 美鈴の言葉に優菜は、苦笑いで返す。 「まぁ、おかげで大野さんがまとめて休暇取れるって喜んでいたし、いいんじゃない。」 「まぁ、大野さんにいつもお守りさせているから、たまにはリフレッシュしてもらわないとね。それより美鈴さんは、大丈夫?」 「まぁ…なんとかするしかないでしょ……」 大野さんは今までなかなか使えなかった有給休暇を使って、アメリカに旅行に行くらしいのだが、そこで仲のいい長谷川さんも一緒に行きたいと言う話になり、急ぎの案件のない今なら普段休みを自由に取れないふたりを快く送り出してあげようと言う事になった。 唯一の問題は、美鈴が2週間近く涼平に付かなくてはいけない事だ。 別に仕事ができないわけじゃない。 むしろこの会社が、ここまでになったのは社長の力もあるけど、副社長である涼平の営業力に寄るところが大きい。 仕事面では認めているが、相変わらずのチャラいまでの調子の良さと美鈴に対しての態度で、涼平はすっかり美鈴の中でのランキング最下位に君臨しているのだ。 これからの2週間を思うと美鈴はため息を吐いた。
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