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「おはようございます。本日より2週間、よろしくお願いいたします。」
「よろしくな。」
いつもの調子の良さが嘘のように地味なスーツを着込み、真面目な顔で書類に目を落とす涼平に美鈴は調子を崩された気分になった。
「今日はどうされたんですか。」
「何が?」
「いつもと違いますよね。」
「俊介が留守の間は、俺が責任者だからちゃんとしていないとまずいだろ?」
「そうですが…いえ、留守の間だけじゃなく普段からそうしていてください。」
「美鈴は、こっちの方がタイプか?」
涼平が書類から顔を上げ、笑顔で美鈴をじっと見つめてくる。
「そ、そういう話ではありません。それに秘書を名前で呼ぶのは、おかしいです。」
ピシャリと言ったつもりだったが、顔が赤くなるのを抑えられない。
自分の今の状況も気持ちの揺れもどうしていいのか分からず持て余していた。
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