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「おはようございます。本日付けて秘書課に配属になりました。笠井美鈴です。よろしくお願いします。」 その日、笠井美鈴はK's事務機器人事課からグループ親会社であるK'sホールディングス秘書課に異動になった。 4年間、人事課の後輩として可愛がっていた桐原優菜が、親会社の社長神木俊介と結婚したことにより、K'sホールディングス秘書課に異動になったことからこの状況になる事が始まっていたのかもしれない。 異動先の秘書課で役立たずの前任者を異動させるにあたり、社長と副社長の過去に関わった女性が秘書候補になったことから優菜の離婚危機にまで発展し、結局その女性を子会社に異動させるトレード相手に優菜と仲の良かった美鈴が巻き込まれた形だ。 話を聞いた美鈴は、優菜を抱きしめて『私のかわいい後輩を今後、困らせるようなら、ただじゃおかない。』と異動に同意したのだ。 秘書課には社長、副社長、専務、常務にひとりずつ専任秘書がついており、それ以外に専任の不在時の代わりや会議などの準備のため課長と4人のサポート要員がいる。 サポート要員の2人が異動するため、手薄になったサポート要員に社長の第二秘書の優菜が一時的にまわり、新入社員が配属されるまでの間、優菜、渡辺、美鈴の3人体制になった。 これには最初サポート要員で配属されたはずなのに、無理矢理第二秘書というポジションを作って側に置いていた社長は難色を示したが、優菜に怒られて渋々認めたらしい。
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