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「それで今日はどこへ行く?……美鈴、聞いてる?」
こちらを見ている涼平に話しかけられているとようやく気付く。
「は、はいっ。」
「だから、どこへ行こうか?」
「どこって…家に帰りますよ。」
「今日は俺とデートだから。」
「デ、デートですか?」
「うん。昨日、約束した。あ、そうだ。一回美鈴のアパートに寄って着替えとか月曜日の支度して、それから出かければいいな。」
「月曜日?」
「月曜日の朝までゆっくりできるだろ。」
涼平は爽やかな笑顔でそう言うが、美鈴は状況についていけない。
「そもそも約束ってなんですか。」
「ふたりで鎌倉まで行こうって昨日話した……もしかして、それも覚えて…」
「いませんね。」
美鈴の言葉に涼平が頭をガックシと下げた。
まるでお休みの日の約束を反故にされた小さな子のように見える涼平に美鈴はつい声をかけていた。
「でも約束したのなら、守らないといけないですね。」
途端に満面の笑みになる。
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