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『2年A組の、津堂くん。2年A組の津堂くん。至急放送室まで来てください』
校内放送が、昼休みのここ、第一中学校内に鳴り響く。
誰もいない放送室。私は先生から鍵を借りて――いや、勝手に職員室の鍵箱から拝借して、アナウンスをした。
しばし待つと、彼はやってきた。
いつものポーカーフェイスに、やや眉間にシワを寄せながら。
「……あんたか、俺を呼び出したの」
「はい! 1年B組、野瀬ひまわりです!」
私は手をおでこに当てて、敬礼のポーズ。
「……何の用?」
朴訥とした話し方、嫌いじゃない。
短髪黒髪で、意思の強そうな深い紺色の瞳をしている。
背は対して高くないけれど、そんなことはどうでもいい。
学ランも、着崩すことなくちゃんと校則にのっとっている。
私は、マイクの音を拾うスイッチを最大限にした。
「津堂先輩、私、先輩のことが好きです!」
大きく万歳をして言った。
このくらい、あなたのことを好きですという意思表示だ。
「……はぁ」
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