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「彼女にしてください」
「……彼女とか、めんどくせぇ……」
淡々と言い放つ、けれど私はめげない。
「好きです。好きなんです。ね、お願い」
今度は拝むポーズをしてみせる。
津堂くんは、それでも首を横に振る。
「今、この会話、全校に流れてますよ」
ぴくっ、と彼は肩を震わせた。
そして電盤に目を向けた。
放送中である、赤いランプがらんらんと点灯している。
脅しのような言葉に、彼は私の目をじっと見つめる。
精悍な顔つき。やっぱり素敵だ、このひと。
「つきあってつきあってつきあってつきあって、つきあってください」
「あ~、もう、めんどくせぇ。その様子じゃ、断わっても後後まとわりついてきそうだな」
「よくご存じで」
ふっ、と津堂くんはそこで呆れたような息を漏らした。
「……解ったよ。適当につきあう」
「やった!」
私は彼に抱きついた。
「おい、やめろって」
私は幸せを抱きしめていた。
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