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 桜が丘公園に来ていた。遊具が置いてある広場が二か所、池のある庭園が一か所、それに観覧席つきの野球場まである。美玖が住んでいる地域では一番大きな公園だった。  小学校六年間を通して仲が良かった楓ことカエちゃんとは中学校が別々になってしまっていた。これは単純に通っていた小学校が二つの中学に別れて進学するからだ。  夏休み初日、互いの学区のちょうど中央付近にある桜が丘公園で待ち合わせをして、久しぶりに顔を合わせることとなった。  卒業する頃はほとんど変わらなかった二人なのに、カエちゃんはスルスルと身長が伸びて今や三センチも差がついている。髪はバッサリショートになっていた。美玖は小学生の頃と変わらぬミディアムヘアだ。テニス部に入ったからだろうが、こんがり日焼けもしていて小学生時代に比べるとカエちゃんはなんだか急に大人びていた。カエちゃんはどちらかと言えば童顔で、美玖の方が大人びた容姿だと思う。それなのに雰囲気がガラッと変わって、急に中学生を飛び越え高校生みたいだと思って焦る。置いていかれたような寂しさを感じながら、美玖はカエちゃんの話に耳を傾けていた。 「これでもさ日焼け止め塗ってるんだって。美玖も塗ってるの?」  日焼けした腕をさすりながら美玖の白い腕を羨ましがった。 「一応塗ってるよ。なんだっけな……何とかって言う名前の奴」  カエちゃんは八重歯のある女の子で、それをニカっと出して笑う。 「それじゃ全然わからないってば。今、持ってる? 見せて?」
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