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「わざわざこの学校に?」
「わざとかも」
ずっとうつむいて早希の手を見つめていた奏音が顔を上げた。ふつふつとこみ上げる怒りをこらえているのだろう。彼女の唇はわなわなと震えていた。
「私に会うために、わざとこの学校を選んだのかも」
吐き捨てるように彼女は言う。地獄に落ちろとかつて言っていた男の再来に、唇だけでなく肩や手まで震えている。
「追い出そう。絶対に」
早希は握った奏音の手を胸まで上げ、誓いを交わすように言った。
一瞬、奏音の体の震えが止まった。じっと彼女は早希の瞳をのぞきこんだ後、繋いだ手を握り返して強く頷いた。
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