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葬儀から数日後に俺はあの木の所まで来ていた。 あと少しすれば春が来る。 俺はそっと近くの枝に手を伸ばした。 「…東…見てみろよ…」 枝の先の方に小さな蕾が付いていた。 きっと春になればこれは花を咲かせて、そして夏になれば青々とした葉がこの木を彩る。 あいつにも見せてやりたかった。 いや…もしかしたら空で見てるかもしれないな…。 涙はもう出なかった。 その代わりに毎日の様にあいつの笑顔を思い出して、夢の中であいつを抱きしめる。 それは酷く虚しくも感じるけれど、幸せだったと東が言ってくれたから俺は前に進むことが出来る気がした。 でもきっと、何年、何十年経っても俺はあいつのことを忘れない。 そして、俺があいつと同じ所に上る時になったら、この気持ちを伝えるんだ。 「なあ、夕陽。お前も俺の事好きだったか?」
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