転機

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「そっか」  それから会話も盛り上がらなく、車内では微妙な空気が流れていた。 「着いたよ?」  そう言って、高層マンションの地下駐車場に入っていく天宮。  嘘だろ?こんなところ住んでるのかよ。  まぁ、副社長だしな。高校の時は、俺の方が成績も運動も上だったのに。  今じゃ、俺は下っ端。天宮は副社長兼社長みたいな感じだもんな。    マンションにはコンシェルジュも在中しているようだった。俺のマンションと大違いだ。天宮の後ろについて行き、エレベーターに乗る。エントランスも設備も凄い。  天宮がカギを開け、部屋に入る。  何もしていないのに、自動で電気が点いた。 「すげー!」 「どうぞ?」  靴を脱ぎ、スタスタと部屋の中に入って行く。 「お邪魔します」  靴を揃え、彼の後について行った。 「マジか。広い!」  広いリビングとキッチン、間取りを考えると2DKくらいか……。一つの部屋が広い。 「これって、家政婦とか頼んでんの?」  あまりの部屋の綺麗さに驚く。ゴミ一つ落ちてない。 「頼んでないよ」  彼はスーツを脱ぎ、ワイシャツ一枚になっていた。 「そういえば高校の時、俺の散らかってる部屋、よく片付けてくれたよな?」  俺は逆にだらしがないから。天宮とは違う。 「天宮が来ると部屋が綺麗になるから。甘えてたよ」  昔のことを思い出した。 「よく覚えてるね」  彼は少し恥ずかしそうにそう呟いた。 「飯は作れんの?」 「作れないことはないけど、最近は忙しくて作ってない」  そうだよな。 「忙しいよな、副社長だもんな」  俺も元々料理が苦手だった。簡単な物しか作れない。 「一緒にコンビニ行こう。歩いてすぐだから?」  一緒にと誘ってくれたことがとても嬉しかった。
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