241人が本棚に入れています
本棚に追加
「そっか」
それから会話も盛り上がらなく、車内では微妙な空気が流れていた。
「着いたよ?」
そう言って、高層マンションの地下駐車場に入っていく天宮。
嘘だろ?こんなところ住んでるのかよ。
まぁ、副社長だしな。高校の時は、俺の方が成績も運動も上だったのに。
今じゃ、俺は下っ端。天宮は副社長兼社長みたいな感じだもんな。
マンションにはコンシェルジュも在中しているようだった。俺のマンションと大違いだ。天宮の後ろについて行き、エレベーターに乗る。エントランスも設備も凄い。
天宮がカギを開け、部屋に入る。
何もしていないのに、自動で電気が点いた。
「すげー!」
「どうぞ?」
靴を脱ぎ、スタスタと部屋の中に入って行く。
「お邪魔します」
靴を揃え、彼の後について行った。
「マジか。広い!」
広いリビングとキッチン、間取りを考えると2DKくらいか……。一つの部屋が広い。
「これって、家政婦とか頼んでんの?」
あまりの部屋の綺麗さに驚く。ゴミ一つ落ちてない。
「頼んでないよ」
彼はスーツを脱ぎ、ワイシャツ一枚になっていた。
「そういえば高校の時、俺の散らかってる部屋、よく片付けてくれたよな?」
俺は逆にだらしがないから。天宮とは違う。
「天宮が来ると部屋が綺麗になるから。甘えてたよ」
昔のことを思い出した。
「よく覚えてるね」
彼は少し恥ずかしそうにそう呟いた。
「飯は作れんの?」
「作れないことはないけど、最近は忙しくて作ってない」
そうだよな。
「忙しいよな、副社長だもんな」
俺も元々料理が苦手だった。簡単な物しか作れない。
「一緒にコンビニ行こう。歩いてすぐだから?」
一緒にと誘ってくれたことがとても嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!