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二人の過去
十年前のこと――。
十年前。高校生の時、俺と悠は同じクラスだった。隣の席になったのがきっかけで話すようになった。授業態度とか俺は不真面目なのに対して、悠は真面目。俺が運動が得意だったのに対して、悠は苦手。俺の家は貧乏だったのに対し、悠の家は金持ち。正反対の二人だったけれど、悠と一緒に居ると素の自分が出せて、和んだ。
悠は俺の癒しだった。
家も同じ方向、時間が合えば一緒に帰宅した。
学校がない時は、悠が俺の家に遊びに来て、よく一緒に漫画を読んだり、ゲームをして遊んだり。
悠一人が居れば良かった。
高校は男女共学だったけど、お互いに女の子に対する興味はほとんどなかった。俺も悠も女子によく告白をされたけど、断っていた。
同じクラスの男は、女の話ばかりしていたけど、俺たちは違った。別に童貞とか恥ずかしいと思わないし。いつか好きな女の子が現れるだろう……くらいに思っていた。それほど性欲も強くなかったし、自分で処理してる方が楽くらいにさえ感じていた。
そんな時――。
悠に彼女ができた。
学年で人気の女子。綺麗でスタイルも良く、性格も悪くなさそうだった。
俺には何にも相談してくれなかったことに憤りを感じた。
悠に彼女ができてから、俺と過ごす時間が少なくなっていった。当たり前だよな。
彼女が出来て「良かったな」って言わなきゃいけないのに。そんな気持ちにはずっとなれなかった。
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