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「悠？どうした？」
俺が近くに駈け寄ろうとすると
「……もういい」
「えっ？」
「俺、壮馬が思っている気持ち悪い奴なんだよ。俺、壮馬のことが好きなんだ。恋愛感情があるって意味」
俺の思考が止まる。
悠が俺のことを好き？恋愛感情がある？
泣いてるし、冗談を言っているわけじゃなさそうだ。
「悠……」
なんて返答をして良いのかわからない。
「ごめん。もう壮馬の前には二度と現われないようにするから。気持ち悪くてごめん」
どういう意味だ？
悠は俺を抜き去り、一人で帰って行った。
俺は動揺してこの時、彼の背中を追うことができなかった。どうせまた明日になれば会えるから。
今日の夜ゆっくり考えて、なんて伝えようか考えよう。
そう思った。
この日からもう悠に会えないなんて考えてもいなかった。
次の日から悠は学校に来なくなった。
携帯に連絡をしても、無視をされる。
数週間後、彼が父親の仕事の都合で転居することになり、学校を転校したことをホームルームで担任から伝えられた。
俺はその日学校をサボり、前に彼に教えてもらった自宅の住所を検索しながら向かった。
「そういえば、悠の家に遊びに行ったことってないもんな」
わだかまりを解きたい。
また会いたいことを伝えたい。必至に走った。が、既に遅かった。彼の住んでいた家はもう誰もいなかった。
何度連絡しても、彼が電話やメッセージに返信してくれることはなかった。
悠がいなくなってから、俺は学校をサボりがちになった。襲って来る後悔、罪悪感、空虚感、焦燥感。いろんな感情が混じる。
こんな感情、人生で初めて経験をした。
とても毎日が辛い。
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