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「おう。ありがとう。んじゃ、悠は座ってて?勝手にやるから」
「うん」
とりあえず珈琲をもらった。二人でソファーに座る。
「体調、どう?大丈夫か?俺は今日、何か手伝えることがあったらと思って来たんだけど。買い物とか、なんかしてほしいことある?」
悠は一瞬、目を丸くさせた。そしてなぜか顔が赤くなった気がする。
「買い物、頼みたいかも」
そう小さな声で呟いた。
「よしっ、そのつもりだったし。まだ体調悪いんだろ?ベッドで寝てろよ。なんか食べたいものある?買ってくるから。すぐ食べられる物の方が楽だよな?」
今日は最初からそのつもりだった。
俺に何かできることがあったら力になりたいと思ってたし。
「そうだ。悠、うどん好きだったよな?うどんだったらすぐ食べられるし、買ってくるよ。あっ、でもお母さんとか彼女にもう作ってもらったりした?」
俺の言葉を聞いて、クスっと彼は笑った。
「俺がうどん好きだってよく覚えてるね。高校の時も熱出たのに家に帰りたくないって我儘言った俺に、壮馬がうどん買って来てくれたよね」
悠こそよくそんなこと覚えているな。
「覚えてるよ。悠と一緒に居た時間が、人生の中で一番楽しかったから」
あっ、ヤバい。
本音だけど、気持ち悪いって思われたかな。
「それ、本当?」
彼は穏やかな表情でそう聞いてきた。
「恥ずかしいけど。俺の本音だよ。あの時が一番楽しかった……。お前が居なくなって毎日がつまらなくなった。最後はあんな別れ方になると思っていなくて。後悔した。ずっと謝りたかった」
このタイミングで話すつもりじゃなかったのに。
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