彼のためにできること

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「ごめん。変なこと言って。じゃあ、俺、買い物行って来るから」  俺は立ち上がり、出かけようとした。  が――。 「悠、どうした?」  彼が俺の背中に頭を付け、後ろからハグをされた。  ドキドキする……。  平然を装わなきゃいけないが、鼓動の高鳴りが止まらない。 「こんなことして……。俺のこと、気持ち悪いって思う?」  消え入りそうなか細い声だった。  気持ち悪くなんか――。 「気持ち悪いなんて思うわけないだろ?あの時(十年前)は、あんなこと言ったけど、悠のことをそう思ったわけじゃないし……。あの時は子どもだったから理解できなかったけど。俺は悠が居なくなって……。いろんなことに気付かされて……。俺は――」  その時<ピンポーン>というインターホンが鳴った。  勢いで告白するところだったかも。  悠は俺から離れ、モニターに映っている人物を見に行った。 「あぁ。面倒だな。壮馬と一緒なのに」 「誰?」 「彼女。あの子、ここのカギ持ってるから、勝手に入って来れちゃうし、居留守とか使えないんだよね」  面倒?彼女のこと、好きじゃないのか?この前、病院でチラッと見た時は綺麗だったし、悠のこと本当に心配してそうだったけどな。  そんなことを思っていると<ピンポーン>ともう一度インターホンが鳴る。悠が玄関まで向かう。  俺も一応挨拶をしようと思って、悠について行く。  悠が玄関を開ける前に<ガチャ>っと扉が開いた。しかし内側からもカギをかけていたため、少しドアが開いたところで<ガシャン>と音がして止まった。 「ちょっと待って」  悠が彼女に声をかける。 「はい」 彼女が返事をした。  悠が内側からかけているカギを外し、ドアを開ける。玄関に彼女が入ってきた瞬間、彼女は悠に抱き付いた。
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