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ドクンと鼓動が大きく鳴った。
十年前って、俺のことじゃないよね?
一回フラれた?
返事に困っていると
「俺、必ずしも同性が好きってわけじゃないんだけど、ずっと片想いをしている人は男なんだ。最近久し振りに逢って、抑えてた感情がまた抑えきれなくなりそうで……。怖い」
それって、俺だと確信していいのか?
いや、俺だよな。
急な告白に動揺を隠せない。
「ごめん。変なこと言って。身体は元気になったんだけど、倒れてから感情が不安定で……。ダメだ」
彼はそう言って苦笑する。
もう悠と離れたくない。後悔をしたくない。
今だって勇気を出して俺に伝えてくれたんだろ?
俺だってちゃんと悠の気持ちに応えたい。
「俺も好きな人がいるんだ」
俺の言葉を聞き、悠は一瞬目を見開いたが、その後、優しい微笑みに変わった。
「……。壮馬の好きな人ってどんな人?」
「俺の好きな人は……。優しいけど、どこか頑固で……。仕事に一生懸命で……。俺には持っていないモノを持っていて……。昔、一回告白してくれたんだけどその時はしっかりと応えられなくて。居なくなって気付いたんだ。俺にとって一番大切な人だったんだって。悠、お前のことが好きだ。今も昔も……。もっと早く伝えられなくてごめん」
自分から告白するのは初めてだった。緊張しすぎて手が震える。悠の顔もまともに見ることができない。
でも――。
「悠、泣いてるのか?」
彼は、手で顔を半分覆いながら涙を流していた。
「……う゛ん……」
俺は思わず彼を抱きしめた。
そうか、愛おしいとかってこういう感情のことを言うんだな。
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