彼のためにできること

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「壮馬……?」  俺に抱きしめられて、驚きを隠せないのか悠に名前を呼ばれた。 「あぁ、マジで可愛い」 「なにそれ、可愛いって?」  可愛いという言葉に不服そうだった。  でも悠はしっかりと俺を抱きしめ返してくれた。  俺も抑えていた感情が一気に爆発しそうだった。 「ね、悠?ちょっと上向いて?」 「やだ。こんな顔見せたくない」  悠の泣き顔を見たいとか、俺も歪んでるのか?  悠に怒られるのを覚悟で、クイっと強引に顎をあげた。悠と目が合う。  なんでそんな顔してるんだよ。潤んだ瞳に何か言いたそうな顔。  理性が飛びそうってこんな時のことを言うのだろうか。 「んん……!」  俺は強引にそのまま悠にキスをしてしまった。 「はっ……。壮馬……?」 「っ……!ごめん。キスしたくなった」  急にこんなことをして、悠はどう思ったんだろう。  引かれた?  何も言わない彼に 「ごめ……」  ごめんと謝ろうとした。  しかし 「……して?」  聞き取れなかったが、悠が何か言葉を発した。 「もう一回……」  すると俺の胸に額を当て 「もう一回してほしい」  彼はそう言った。  ドクンと鼓動が脈打った。 「じゃあ、上向いて?悠が下向いてたらできないじゃん」  俺がそう伝えると彼はゆっくりを上を向き、目線を合わせてくれた。 「んっ……」  再びキスをした。  ヤバい、これだけじゃ足りない。  一度唇を離し、再度唇を合わせる。 「ん……。んんっ……!」  悠の口の中に舌を入れてみた。彼の吐息が漏れる。 「はぁ……!んんっ……」  俺は悠の頭を持ち、離れないようにした。 「壮馬っ……!はげしっ」  はぁはぁと息を切らしている。  もう止めた方が良いな……。  これ以上したら、悠にどんなことをしてしまうかわからなかった。
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