彼のためにできること

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「ごめん」  彼から離れようとしたが――。 「壮馬っ、ベッド行こう?」  予想していなかった彼の言葉に一瞬驚いたが 「もうどうなっても知らないから」  俺は彼の腕を引っ張り、寝室へ入る。  悠をベッドに押し倒すような形で馬乗りになった。心拍数が上がる。 「悠、ホントに具合とか……。もう平気?俺、ここで止めないと悠に何しちゃうかわからない」  まだギリギリ彼を気遣える余裕がある。 「……。大丈夫。壮馬にもっと触れてほしい……」  あぁ、もう。そんなこと言われたら止められないな。 「わかった」  悠の耳元でそう呟き、そのまま耳朶にキスをする。 「うわっ……。くすぐった……」  ペロッと舐めて、悠の反応を伺う。 「ちょっ……。壮馬ぁっ……」  嫌がってはいない。カプっと耳朶を甘噛みした。 「あぁっ……!」  悠が俺の背中にギュッと掴まったのがわかった。首元へ舌を這わす。 「んんっ……。はぁっ……」  これって感じてるって思っていいんだよな? 「壮馬っ……!キスして……?」  強請られて可愛いと思ってしまった俺は、わざとチュッと軽く触れるだけのキスをした。 「んっ……」  そのまま悠を見つめる。  こんな悠の表情見たの、初めてかも。  困ったような、でも何かを求めているような、どちらにしろ煽られる。 「壮馬のいじわるっ!」  急に子どもっぽくなったな。 「どうして?」  そして俺は好きな子を虐めている悪い奴になっている。 「だって……」  う゛ぅとうなだれる悠。 「どんな風にキスしてほしいか言ってくれないとわからない」  少しニヤけてしまう俺はもう末期だな。
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