神崎美加に花束を贈ろう

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1 幼稚園から高校までずっと一緒だった美加ちゃんが引っ越し、つまり卒業すると人づてに聞いた私はショックで思わず持っていたバッグを地面に落としてしまった。 何とか喋らなきゃと思い、震えながら、 「それって…確かな情報なの?」 「本人が言ってたから間違いないよ」 そう言ってクラスメイトは学校の階段を下っていった。 全身に雷が落ちた、この感じ。 本人から実際に事の真相を聞きたくて、私は急いで教室に走った。50代の先生から 「廊下で走るなよ」 と言われた事も耳に入らずそのまま先生の横を駆け抜けていく。 息切れしながら教室の扉を開けると、次の授業直前で数十名のクラスメイトが固まっていて美加が見えない。 先生が教室に入ると、 「全員着席!」 の一喝で、全員が座った時にやっと美加ちゃんの後ろ姿が目に入ってきた。 隣の生徒と楽しそうにはしゃいでる姿を見てると、涙が出そうになる。 早く2時間目の授業が終わって欲しい。そうしたら美加ちゃんと話せるのに。 1時間がとても長く感じた。教科書を立てながらスマホをずっと見ていた。先生に名前を言われなくて本当に良かった。
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