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そう言うと美加ちゃんはボソリとつぶやくように言った。
「うちの親父って会社で虐められてるんだよね。だから北にわざと飛ばしたわけ」
「え…」
私は軽口を言った事に気づいて
「ご、ごめんね…でも寂しいよ…」
やはり涙が溢れそうになる。
「ま、そういう事だから」
帰ろうとする美加ちゃんに私は、
「美加ちゃんは、私と離れることに何とも思ってないんだね」
美加ちゃんは無言で応えた。
屋上に一人、涙をこぼしてる私だけが存在していた。
次の日、私は学校を休んだ。
どういう気持ちでいるかは、色んな思いが交錯して答えが見つからなかったからだ。
学校では美加が後ろを振り向いて、東雲雪が休んでいると分かると、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ悲しい顔をしたが、強面な顔に戻るのだった。
お昼の休憩時間に、美加からケータイメッセージが来ていた。学校行ってる?とかいつ帰るの?とかどうでも良いメッセージだったので既読スルーした。
その次の日も雪が休んだので美加はさすがに沈鬱な表情を隠せなくなっていた。
美加はお昼休みに、こちらからケータイメッセージを送った。
『明日13:30の電車4番線で引っ越す』
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