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読んでくれるかどうかは分からないが、既読のメッセージが続いてるし大丈夫かなと思い午後の授業に戻った。
今日最後のホームルームで、引っ越す旨の最後の挨拶をすると幾人かが泣きはじめる。つらい時間だった。
次の日、13時。昨日泣いていた数名がお別れに来ていた。美加はもらったお菓子に埋もれそうになったが、その視界の中に雪は見えなかった。
(やっぱり見てくれなかったのかな…)
そろそろ発車時刻が迫ってくる中、4番線入り口から一つの影が見えた。
「美加ちゃーんッ」
片手を隠し、もう片方の腕を振り回せて。
もうこれ以上は隠しきれないと美加ちゃんは涙を流した。2人は抱きしめあった。
美加は泣きながら言った。
「ごめんね…無視しないと別れられなくなるからって…わざと…」
私もさらに涙を流し、うんうんとうなずいた。
隠してた片手。
サヨナラがはじけ飛ぶように。
神崎美加に花束を贈ろう。
私からの絆として。
花束を贈ろう。
卒業する美加ちゃんに、そう思いながら隠していた片手を、前に出した。
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