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身長もあり、体格の良い大雅と雪人、華奢だけれど背は高い光希がファーストフード店の4人掛けのテーブルに前かがみになっていると、かなり窮屈だ。
大雅の話が終わるとすぐ、小柄な健吾が両手を上げて伸びをした。続いて、雪人が椅子の背もたれに体を預ける。テーブルの上に頬杖をついていた光希が目を丸くして、大雅を見てきた。
「大雅くん、本当に言ったの。好きになってくれてるのに冷たいよ。付き合ってみたら好きになるかもしれないじゃん」
雪人と健吾が向かいで、言うだけ無駄とでも言いたげに、光希に向かって手を揺らしている。そんな2人に舌打ちをした大雅は、胸の前で腕を組んで光希を横目で見る。
「じゃあ、お前、付き合って好きになったことあんのかよ」
「うーん、付き合って好きになることはないかな。好きって言われたら好きって思うから」
雪人と健吾がそろって体を前に乗り出した。
「はあ、何言ってんの」
呆れた声を2人で重ねていた。大雅の方に顔を向けて話していた光希が、雪人と健吾のほうへ顔を向けた。
「え、何。好きって言われたら嬉しいし、そう言ってくれる子はかわいいじゃん。だから好き。変かな」
健吾が黒縁眼鏡を手の甲で持ち上げ、光希に冷たい視線を送っている。
「変だろ。好きってLOVEの好きを言ってんだぞ。それとも相沢が言ってんのはLIKEか」
光希は頬杖をといて、目をより丸くして首を左右に振った。
ストローでアイスコーヒーを混ぜていた雪人が光希を見る。
「その好きって言ってくれた子が他の男と仲良くしてるのを見たら、腹立つか」
疑問を投げかけた雪人を光希はまっすぐ見つめる。返事をするまでに少し間があった。
「特に何も思わないかも。『〇〇くんと2人で出かけた』とか言われたこともあるけど、楽しかったならいいじゃんって答えて頬を叩かれたことあった。なんかわざとヤキモチ妬かせようとしてたみたいだね。面倒くさくなって、その子とはすぐに別れた。あー、そういえば、そんなことばっかりかも」
雪人と健吾がそろって肩を落としてうなだれる様子は、まるで漫画の登場人物だ。先に顔をあげた雪人がため息をついた。
「なんだ。相沢も本気で人を好きになったことねえんじゃん。大雅の恋愛指南してもらおうと思ってたけどダメか」
両肘をテーブルにつき、両手に顎をのせた光希が雪人と健吾を交互に見る。
「雪人くんや健吾くんって彼女いるんでしょ。二人が大雅くんに教えればいいのに」
健吾が光希の目の前で同じように両肘で頬杖をついた。
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