第二話 それってどっちが正しいの?

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その後、心がもやもやするのを隠しながら仕事に集中していた。 「三条、もう上がろうか?」 宗次郎君の声にハッとすれば、就業時間も過ぎており、直帰するメンバーも多いためか、残っているのは私たちだけだった。 「もうこんな時間」 私の言葉にクスリと宗次郎君は笑う。 「弥生って本当に集中力がすごいな」 そういうと兄が妹にするよにポンと頭に触れる。 「そう?」 二人きりということもあり、プライベートの話し方に戻った宗次郎君に、私も笑顔で首をかしげながら帰り支度をする。 「そうだよ。それにいろいろわかりやすい」 「えー? それ褒めてないよね」 顔に出やすいということだろうか。他の人からそんなことを言われたことがない私はなんとなく腑に落ちない。 「佐和子の方がわかりやすくない?」 ここでこの名前を出していいかわからなかったが、何かこじれてしまっている二人が心配で探りを入れるように聞いてしまった。
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