第一話 離婚しましょう

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会社では海外事業部の若きエースとして活躍し、家では家事も手伝ってくれる良き夫だ。 身長百八十二㎝の高い身長に、細身だが均整の取れた身体。まっすぐな瞳が私を見つめている。 なんだかんだ優しい彼は、かわいそうに見えた私を見捨てることができなかったのだろう。 「とりあえずお互いメンツは保てただろう?」 「それは私だけでしょう」 少し笑って言って見せれば、尋人はクスリと肩をすくめた。自分の本音をみせないときにするこの癖はもうわかってしまった。 そんなことを知らなければよかったそう思うが、今更仕方がない。 三条弥生、29歳。濃いブラウンの背中までの髪はいつもはまとめているが、今日はなんとなく朝に念入りにセットした。 この話をされる気がしたからだろうか。
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