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「どうした?」
新入社員の時からかわらない、優しい声に私は少し笑みを浮かべた。
「何がですか?」
そう答えるも彼の視線にもふたりの姿が入ったようだった。少し見つめた後、宗次郎君は私の顔を覗き込んだ。
「酷い顔してる」
「え!」
確かに眠れなくてクマもできて酷い顔をしてる。メイクで何とか出来ていた思っていたのに、そうではなかったのだろうか。
「俺たちの事聞いた?ごめんな、せっかく日にちあけてもらっていたのに」
申し訳なさそうに言う宗次郎君に私は首を振る。
「そんなことは大丈夫ですけど。でもどうしたんですか?」
佐和子からも聞いていたが、宗次郎君はまた違った思いがあるかもしれない。
「うーん、まあここで話すことでもないし。今日の帰り飯でもどう? 久しぶりに教育係としてのその酷い顔をどうにかしなきゃだしな」
今日から尋人の家に帰ることもないし、一人の食事は味気ない。
クスクスと笑いながら言う彼の気遣いに私は頷いた。それに佐和子とのことが気になったのも事実だ。
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