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「なっ!」
オレンジジュースを飲むつもりもなかった私は、だれがこんないたずらをと振り返った。
「お前、今日朝食べてないだろ。コーヒーはやめとけ」
会社用の少し威圧的な声が聞こえてきて、私はグッと唇を噛む。
「食べたよ」
「嘘つけ」
俯いたまま答えた私に、尋人はオレンジジュースを自販機から取ると私の手の上に乗せる。
そしてもう一つ、私の好きなチョコレートバー。その行動に私は無意識に尋人を仰ぎ見れば、心配そうな瞳があった。
「これもきちんと食べておけ。顔色が悪いぞ」
その原因は誰のせい。そう思うもちろん言えるわけがない。キス一つを意識していると、なぜか思われたくはなかった。
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