第一話 離婚しましょう

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「弥生……」 自分から言い出したのに、私がこんなに用意周到にしていたことに驚いたのかもしれない。 私の名前だけ書いてある離婚届を少しの間みた後、尋人はそれを受け取った。 「出しておく」 「お願い」 そっと差し出された尋人の右手。その手に私も右手を差し出す。お互いの右手と左手を繋げるような未来はなかったけど、こうして握手できる関係でこれからもいたい。 私はそう思った。
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