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「おやすみ、稜輔君」  マスターの皺だらけの手が、彼のいた席にそっとカップを置いた。きっと、彼が好きだったマンデリンだ。おしゃべりな香りがわたしみたいだと言っていたっけ。  少し冷めたブルーマウンテンを飲み干して外に出たら、もう雨は止んでいて、青い春空が広がっていた。  来年も、その先も。一緒に春を迎えよう。  今日からわたしは、愛するあなたと共に生きる。そんなわがままを許してくれる、あなたに負けないくらい優しい隼人の元へと、わたしは春の街を駆け出した。   愛の讃歌~Hymne à l’amour~ 【完】
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