ジャンボジェト エマージェンシー

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「気象強行士を呼べ‼」 これは飛行機がまだ雲の下からの飛行しか出来なかった物語。 吹雪吹き荒れる中、ジャンボジェットが突き進んでいた。 コ・パイ(副操縦士)はアテンダントにアナウンスでこう伝えた。 「吹雪で安全な飛行不能!気象強行士を呼べ!」 息荒げなコ・パイの口調からして、アテンダントは緊急事態である事は間違いないと直感し、すぐに乗客の隅から隅まで早歩きしながら呼びかけた。 「お客様の中で気象強行士の方はいませんか?」 そうそういる職業でもない。藁にもすがる思いで1人1人に声をかけた。 後部座席の方で立ち上がった人物を発見し、すぐ駆け寄った。 「貴方が気象強行士ですか?」 男は笑みを浮かべた。 「信じるかどうかは君次第…だが」 アテンダントは息を飲んだ。 「1000万頂こう。乗客の命と天秤にかけるかね?」 アテンダントは状況をすぐにコ・パイに話しかける。 「1000万か…足元を見やがる」 だが心の底から絞り出すようにコ・パイは言った。 「分かったからすぐに晴天にしろ!」 それを聞いたアテンダントは気象強行士にOKサインを出した。 男は目をつむり、オーラを発動させた。未体験なアテンダントは行く末をただ見守るしかなかった。 と、男は天を指差し 「快晴‼」 と叫ぶと同時に、吹雪はおさまり晴天となった。 「すごい!」 アテンダントは驚愕した面持ちで気象強行士の方を向いた。 「1000万は嘘じゃよ」 「え?」 「気候強行士の力は皆を助けるのが使命。雨ごいをしてるものには雨を降らす。でも本当に困っているのか、その度合いを知りたかったんじゃ」 アテンダントから自然と涙が溢れだす。 それを無線から聞いていたコ・パイから 「OK。助かった」 という言葉が手短に響き渡ったのだった。
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