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今日は…
『キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン』
教室に鳴り響くチャイムの音を聞いて、私は目を覚ました
でも…ここは教室じゃない…
私の部屋だ。
それにまだ朝の6:30。ちょうど朝日が部屋の窓から顔を出した頃。
幻聴…かな…?
その時、廊下キッチンから声がした。
「サクラー?起きてるの?
早く用意しなさーい!」
…お母さんの声だ
そしてノックもせずに部屋に入ってきた。
「今日はなんの日か分かってるの??」
「…今日?」
「そうよ、今日よ?まさか寝ぼけてるのね?こんな大切な日、忘れる訳がないものね」
「えーと…」
本当に分からない。
とっさに壁に掛けてあるカレンダーを見た。
驚いた。
…と同時にお母さんが話を続ける。
「はぁ、全く…今日は高校の卒業式よ!」
…私はこの状況が上手く把握出来ていない
「今日が、卒業式…?…高校の?」
おかしい
「そう。卒業式。やっぱり寝ぼけてるんじゃない?まぁ、分かったのならのさっさと用意しなさいよ。」
絶対おかしい
「はい…。」
…少し頭を抱えて部屋を出て行くお母さんを横目にもう一度カレンダーを見た。
分かりやすいよう、過ぎた日には/の印を書いていて/が書かれていない日…つまり今日は『卒業式』とデカデカと文字が書かれた、
2025年3月10日であった。
本当にこれはおかしい。
なぜなら、
私はまだ高校に入学すらしていないからだ。
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