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まさかほんとうに良介さんとこんな関係になれるとは思っていなくて、僕はこっそり、そのローションを一人で慰めるときに使ったことがある。だから、かぶれたりしないことは確認済み。でもそんなことより、このローションは――。
良介さんの指がぬるりと僕の後ろに入ってきた。肌に触れると温かくなるタイプのローションだから、かなり気持ちがいい。そしてすぐに身体の奥に、じわじわとしびれるような感覚が広がった。このローションには媚薬というほどのものではないけれど、それに近いものが配合されているのだ。僕の後ろはあっという間にやわらかくほぐれていく。
「気持ちいい?」
良介さんが聞くので僕はこくこくとうなずいた。もう、指じゃなくて、すぐにでも入れてほしいくらいだ。しかし次に与えられた刺激は求めていたものとは違うものだった。
「わっ、あの、ちょっと、良介さんっ、それは……あっ」
バスルームで達ったばかりなのに、再び勃ちあがっていた前を口に含まれてしまった。これは恥ずかしすぎる。でもものすごく気持ちがいい。ローションのせいもあって酒に酔ったようにクラクラした。さらには拡げた膝のあいだに顔を埋めている良介さんの姿を見てしまって、そのビジュアルのエロさに圧倒された。あの良介さんが、僕の前をしゃぶりながら後ろをほぐしている。これはだめだ、このままでは、また僕だけ達ってしまう。
快感をぐぐぐ、とこらえて、僕は良介さんを押しとどめた。
「良介さん、僕にもやらせて」
良介さんのものも血管が浮いて張りつめていた。彼の肩をそっと押し倒して舐めてみる。これは……、こんなサイズのものが僕に入るだろうか。へろへろの頭でそんなことを考えながら、できるかぎり顎を広げて口の中に収める。
「……っ、ふ」
頭上で良介さんの漏らすため息が聞こえた。僕は嬉しくなって夢中になる。
「……達也」
名前を呼ばれてハッとした。
呼んでくれたのか、名前を。良介さんが名前を呼んでくれたのは初めてのことだった。思わず顔を上げたら口からつうっと唾液が伝ってしまった。あわてて口を拭おうとして、やさしく頬を撫でられた。
「エロいな。かわいい」
そこで僕は恥ずかしいと思う余裕すらなくなってしまった。良介さんが僕の膝をかかえながら入ってくる。僕は彼のきれいな顔から目が離せないし、良介さんも僕の顔をずっと見ている。僕の中に沈んでくるものは大きい。きつい。でも……、気持ちがいい。良介さんも一瞬だけギュッと眉間を寄せたけど、大きな息を吐いて奥まで入ってきて、動きを止めた。あまりの快感に目がチカチカして涙がにじむ。良介さんは小さく笑ってキスしてくれた。
「……わかるか? 全部入った」
「うん。……うん」
そろっと良介さんの腰が動くだけで黙っていられなかった。声をこらえることができない。僕は酸欠の魚のように喘いだ。
「良介さん。りょう、すけ、さん……っ」
「しいっ」
僕の身体を揺すりながら、良介さんは大きな手で僕の口をふさぐ。
「エロい声、出すなよ。おまえは……、達也は全部、俺のだから」
「……っ」
「外にこんな声が漏れたら大変だ」
わざとのように卑猥なことを口にするわりに、良介さんの表情にも余裕がなくなってきている。よかった、僕だけじゃない。良介さんも気持ちいいのだとわかって嬉しかった。僕の身体で良介さんを気持ちよくしてあげられている。そう思ったらもうこらえきれなくなって、口をふさがれながら僕は達った。一人でするのよりずっと長い時間をかけて達った。にじんだ涙が顔を伝う。良介さんが低く笑いをもらした。
「キッツいな。締めつけすぎだ」
「……ごめん、ごめんね。気持ちよすぎて」
「……っ、達也……っ」
良介さんが僕の名前を呼ぶ。グズグズにとろけた僕のなかで、彼のものが大きくなるのがわかった。大きくなって――ぶるっと震えて、そして止まった。
僕は目を閉じることができなくて、身体を大きくそらせて達く良介さんの顔をずっと見ていた。はあっ、はあっ、と息を吐くたびに男らしい喉仏が動く。それに見とれていたら目が合った。「……なんだよ」と笑われる。僕はそっと良介さんの身体を引き寄せて、汗ばんだ首すじに鼻をつけて息を吸い込んだ。
香水の匂いの混じらない、良介さんのまっさらな肌の匂いがした。
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