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駄菓子屋に1人の若い男が訪ねて来た。
「金平糖をください」
「はいよ」
メガネをかけた店主の老婆が目線だけを上げて、金平糖の入った瓶を渡す。
「1つじゃ足りません」
そう男に言われて、怪訝な顔で老婆は顔を上げた。
「いくつだね?」
「店にあるの全部ください」
老婆の目が見開かれる。この店にある金平糖の瓶は10個以上あるのだ。
「全部? 正気かい?」
「もちろんです」
笑顔で答えられて、老婆はポカンとする。
言われるまま、老婆は全部で12個の金平糖を袋に入れて男に渡す。
「まだ足りないな……」
帰り際に呟かれた男の言葉に老婆はさらに唖然とした。
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