不幸の中の朗報

1/1
前へ
/21ページ
次へ

不幸の中の朗報

 結局、樹里ちゃんのママは助からなかった。そして、頭部を大怪我したエスターも両眼の視力を失ってしまう。  それはもうエスターは盲導犬として生きて行くことは出来なくなったという事だ。  その悲しみの中で、私に朗報が訪れる。緊急病院に飛んで来た樹里ちゃんのパパは、樹里ちゃんの生還を喜びながらも妻の死に心を痛めていた。そして樹里ちゃんから、私とエスターが樹里ちゃんを助けた事を聞いた彼は、ある提案を私にしてくれた。 「妻の免許証の裏には死後の角膜の提供の承諾がありました。娘を助けてくれた貴女に妻の角膜の提供させて頂きたいのです」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加