初刑事

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初刑事

翌日、いつのものように登校すると、教室内がざわついていた。 「なんかあったの?」 私は情報通の沙耶に朝の挨拶よりも先に声をかけた。 「高崎君、なんかマンションから飛び降りたって・・・・まぁ、命は取り留めたらしいんだけどね」 「何、それって自殺未遂ってこと?」 「そうは言ってないらしいけど、自分の住んでるマンションの部屋から飛び降りたんじゃないかって・・・近くのマンションに住んでいる隣のクラスの子が救急車で運ばれる高崎君を見たとか見ないとかって・・・・まぁ、状況から判断すれば、ルーの言う通りだと思う」 朝から一気に気分が沈んだ。 我妻君を探したら、彼はいつも通りで、友達と普通に一緒にいた。 視線が一瞬合ったような気がしたから、彼の方に行くべきかどうか悩んでいたら、クラス担任の岡田先生が現れる。 「この中で、昨日、帰る時、高崎を見たヤツいないか?」 そう大きな声で私たちに声を掛けてきた。 「はい」と我妻君が手をあげるから、私も手を挙げた。 先生が最初に我妻君を、次に私を見ると手招きするような仕草をした。 「ちょっと職員室まで来てくれ。他は自習」 教室内は一瞬静かになったけど、少しずつ喧噪が戻ってくる。 「ルー、大丈夫?」 沙耶が心配そうに聞いてくるから、ちょっとだけ微笑んで、先に教室から出ようとしていた我妻君の後を追った。 そして私たちが連れてこられたのは職員室ではなく、校長室だった。 そこには目つきの悪いおじさんと優しそうな雰囲気の若いお兄さんがいた。勿論、二人共、きちんとスーツを着ていて、先生が刑事さんだと紹介してきた。 人生で初の私服刑事・・・・ドラマでしか見たことがない。 「警察手帳とかは?」 我妻君が言うと、苦笑いした二人がスーツの胸ポケットからそれらしいものを取り出して、私たちの見える位置に差し出してくる。ホント、ドラマみたいだ・・・・ 「昨日の高崎君の様子を知りたくてね」 どこにでもいそうな優しそうなお兄さんが口火を切った。 工藤さんっていうらしい。 人相の悪い人が小田川さん。 彼らの正面に座らされた私たち。私の隣に座った我妻君は通常モードだったけど、私の方は、英検の面接試験を受けるみたいに、すごく緊張していた。彼はそもそも緊張したりしないんだろうか? 緊張しない方法を教えて欲しいな、なんて考えていたら、刑事さんたちが話を切り出した。
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