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卒業できない私
卒業してからウミには会っていない。
あれから、色々なことを考えた。
すぐに謝らなかったことを強く後悔した。
心の内で罵倒した自分を呪った。
もっと人の気持ちを考えろと、何度も何度も自分を責めた。
自分が傷つけられたから、相手に何をしても構わない。悪意を持って言った言葉じゃないから、謝罪は必要ない。そんなことは全部都合のいい詭弁だ。
そうやって自分の過ちを正当化した人間は、私のように後悔するのだ。
15の心は留年し続ける。何年も、何年も。『大人』になっても、それは変わらない。そして、私はそれをどうすれば良いのか、その術を知らない。
思いを馳せる。
田んぼに囲まれた中学校、日当たりのいい四階の美術室。あの場所に今も『卒業できない私』がいる。
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