関係の綻び

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関係の綻び

 アイはウミと仲が良かった。それもそのはず、二人は一、二年と同じクラスだったからだ。一年の頃も、二人が一緒にいるところを私はよく目撃していた。  二人の仲は、私とエリナが知らず知らずのうちに深められていった。その結果、三人組の関係は段々と綻んでいった。ウミとアイ、私とエリナといったように別行動することが多くなった。  ウミが意識的に三人組を壊したとは考えにくい。前にも述べた通り、彼女は大らかで優しく、諍いを起こすような人物ではなかった。  それに、いくら顔が広い彼女でも、人間関係が既に築かれた美術部の中に飛び込むことに多少の不安があったのだと思う。そこに、信頼のおけるアイがいたのだから、ウミがアイの側に行くのは当然のことだろう。  私は三人組の関係が消えていくことに少しばかりの寂しさを覚えたが、特段不満を抱くことはなかった。  だけど、エリナは違っていたのかもしれない。露骨な態度は取らないものの、アイとウミが二人でいるとどこか面白くなさそうな顔をすることが増えていった。
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