叶わぬ願いを秘めて

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俺には一人の親友がいる。 そいつは頭も良くて運動神経も良くて、いわゆる天才って奴だった。 俺はどちらかと言うと平凡。 まぁ、天才でも劣等でもない。 俺的には平凡が一番平和だと思う。 でも、俺にも平凡ではないこともある。 人並みに恋をしている。 恋をしていることは平凡に入るのだろうか? それは人それぞれだが、俺にとっては平凡では無い。 なぜなら、好きになった人が友達のそいつだからだ。 もちろん男同士だからって理由もある。 けど、俺的には恋自体が珍しい。 でもまぁ、恋が難しいのは当たり前。 でも、あいつとの恋が実らないことは確定している。 理由は明白で、天才肌のあいつはお家柄で、もう婚約者がいるらしい。 どんな相手かは知らない。 で、今日が卒業式ってわけ。 あいつとも今日でお別れ。 親友って言うほど仲が良かったと思う。 多分…。 でも今日でお別れ、あいつは卒業式でも泣かない。 俺も泣いてないけど。 でも今から泣く予定。 帰り道が途中まで同じ俺たちは、いつも通り帰っていた。 今日でお別れだな〜とか、またなんかあったらメールしろよ〜とか。 学校が別れる俺たちは、寂しいとかそういうのはなかった。 メールや電話もあるし、家もそこまで遠くない。 なんであんな御曹司様が、俺なんかと同じ学校にいたのか不思議だった。 でもそこそこのおぼっちゃま学校だったから納得は行く。 道が別れるところで、手を振り別れようとした。 でも俺は、何を思ったのか、少し歩いたあと、振り返り、あいつの背中に叫んだ。 「俺、お前のこと好きだったぜ!!!」 それを行った俺の顔は結構ぐしゃぐしゃだったと思う。 それを聞いてあいつもこっちを見た。 俺の顔を見て、少し驚いた顔をしたが、それは一瞬のことですぐに笑う。 あいつの顔がどんな顔だったのか覚えていない。 視界が揺らいで、風景もぼやけていたから。 でも多分笑っていたと思う。 あいつは笑い声を上げたあと、俺の叫び声に負けない声で言う。 「知ってた!!!」
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