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「おはよう」
「おはよー」
朝のホームルーム前の教室では、あちこちで挨拶が飛び交う。
出席番号順で並んでいるため、何列か離れた机に座り、潤は後ろの席の男子と話していた。
昨日至近距離に立っていたのが、まるで嘘みたいな普段通りの光景。
うん。これがクラスメイトとしての適切な距離感だ。
1時間目は体育。
更衣室で体操着と紺のハーフパンツに着替えた舞は、隣にいた高山桃に声をかける。
「桃ってキレイな脚してるよね」
そう、舞はこういうほどよく筋肉がついた体型が大好きなのだ。
クラスメイトにはそういう嗜好の持ち主だと知られているので、桃も笑顔で茶化す。
「でたー!舞サマの筋肉チェック!」
「だって理想なんだもん。こういう卵がしっかり詰まった子持ちシシャモみたいなふくらはぎ」
「それは褒め言葉なの?」
「褒めてる褒めてる」
「……まったく。セクハラすれすれの発言しても許されるのは舞が女子だからってこと、肝に命じなよ」
「あはは、わかってるって」
笑いながら校庭に出た舞の視界に、体操着に着替えた潤の姿が飛び込んでくる。
半袖の体操着で露になった上腕二頭筋。
ハーフパンツからちらりとのぞく大腿四頭筋とその下の腓腹筋。
(……うわあ、いい感じ)
なぜかちょっと悔しいし、素直に認めたくはないのだが、自分の好みどストライクな筋肉の持ち主であることは確かだ。
「急に黙って。どうかした?」
桃にそう訊ねられ、舞は慌てて首を横に振る。
「なんでもないよ。行こ」
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