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早速来た?
「蜷川様、本日はご当主や先代ではなく?」
「はい、五百旗頭様。あいにく当主も先代も多忙でございまして、本日は蜷川亨が名代として一家で参加させていただきます」
「ご一家?西田さん、こちらのお嬢さんは美鳥様でございましょう?」
「はい、左様にございます」
西田さんの声に合わせて私はゆっくりと腰からのお辞儀をする。
「どうしてご一家とおっしゃるの?先代のお嬢様で朱鷺様の妹さんでいらしゃいますよね?」
「五百旗頭様。美鳥は蜷川亨と私、敦子の娘でございます。本家で世話になりより良い環境で育てていただいておりましたが、私たちの娘です」
そこからは本当に大袈裟でなく、録画再生したようなやり取りを聞くことになり、私は皆さんのお着物をとても楽しく見ていた。
「美鳥様、この場はこの程度で終わりそうです。主要な方には全てお会いしました。蜷川くらいの規模の家では家業を血縁で続けるために親戚の間での養子縁組等よくあるので、さほど気にならないのでしょう」
遠縁の子が本当は当主の子だったというより、本当は遠い子だったんだということで興味がないのだろう。
「しかし、しっかりと皆様のお耳に届くので朱鷺様のシナリオ通りです」
「私の練習のパターンはもっとあったのに…ねぇ、亨さん?」
「そうだねぇ。でも美鳥ちゃんが日本にずっといなかったこともあって思ったよりも関心がなかったようだね。良かったじゃないか…練習パターンはとても意地悪な人が出てきていたから」
話を聞きながらも私は皆様の着物姿に見とれてしまう。
「亨さん、敦子さん。皆様のお着物が素敵で見とれてしまうけれど、私はこの着物と帯と帯締めが一番好きです。ありがとう」
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