chapter※11※

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皆がもう十分だと言うので帰ろうかと動き始めた時 「敦子さん、振り袖ってお茶会に着ます?」 「ううん、年明けの初釜以外は着ないわね」 私の視線を3人が追った。 「高田頭取ですね、美鳥様」 「あっ、頭取…見えた。ということは…お振り袖はお嬢様?佐井さんのブログで見ただけではわからないですね」 西田さんはそれには答えずいつもより早口で言った。 「亨さん、敦子さん。素通り出来なければ一悶着あります。耐えて下さい」 「「はい」」 二人も短く答えたと思ったら敦子さんがとても小さく囁いた。 「場違いなだけでなく振り袖ギリギリの年じゃないの?暑苦しいわね…メイクも色目も柄も」 誰も答えられるはずがない…駆け寄る勢いで頭取が私たちの前に来たのだから。 「西田さん。いつもお世話になっております。今日は社長は?」 「ここには来ておりません」 「当行、ただいま大変困惑しておりまして…このところの蜷川様の動きが理解出来ないものですから…」 「理解出来ない?それならそれでよろしいと思いますよ?私どもは先を急ぎますので失礼致します」
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