秋によせて

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ポケットの中、居心地は良くない。 衣更えをしたのか、手さえ通してくれない。 今日も疲れた顔、コンビニ弁当をぶら下げて足音が重い。 季節がどんどん冷たい風の中に向かう。 街行く人は襟を立て風をしのぐ。 街路樹も色を深めてきた。 ポケットの中、葉っぱはスーツの中で薄れ行く服の記憶を感じていた。 あの日、気合いを込めて誘った女にフラれた。 冗談はよしてよ、いつか一緒に暮らそうなんて。 田舎なんて私に似合うと思うの、アハハ。
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