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摘まみ出したのは茶色くなった枯れ葉。
手の中でホロホロと碎ける。
帰してやらねば。
そう、都会では見掛けることのない葉っぱ。
スーツは処分した。
ティッシュにくるんだ枯れ葉を大事に汽車に乗る。
近づく。
秋が深まる故郷へ。
小さな町を抜けて畑道を歩く、山々は鮮やかで優しい色を纒ってその手を広げている。
秋の恵み、子供の頃から馴染んだ柿の木にたわわに実る黄色。
ばあちゃんの畑。
大根も大きく育っているぞ。
アハハ、そろそろ帰ってくるさ、心配はいらないよ。
耳馴染みの祖母の声。
ウン、知ってる。
秋の初めに見つけてずっとあの部屋にいたから。
祖母を手伝い収穫しているのは、都会に負けないでと送り出してくれた幼なじみの
楓。
帰ってきたよ。
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