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捨てる神あれば拾う神あり
夕方までダラダラと過ごしてしまった夏美は、重い腰を上げて部屋を片付けだした。
勢いで、久しぶりに部屋の模様替えまでやってしまう。
──これは捨てるゴミ。
──これも捨てる。
──……そうだ、余計なものは全部捨ててしまえば良い。
「結婚願望も捨てよ!婚活もええかげん卒業や!」
きれいに片付いた部屋を見回すと、いつの間にか心も軽くなっていた。
「そや、明日鉢植えか観葉植物でも買いに行こ。お洒落になった部屋で、久しぶりに料理でもするかな」
何を作ろうかとワクワクしながらレシピを探す。
誰かに食べて貰うのではなく、自分が楽しめればそれでいいと思った。
「ワインに合う料理──日本酒でもいいな〜」
夏美の部屋が、彩を取り戻した。
日曜日、早起きして神社まで散歩に行った。
見慣れた鳥居も狛犬も、早朝の凛とした空気の中では違って見える。
お賽銭を入れて手を合わす。
──私の人生、一人逞しく生きていけますように。それと、お酒は許して下さいね。
会社と自宅との往復で、商店街のまわりにも新しい店が開店している事に気付かなかった。
パン屋にカフェ、花屋もあった。
「良さげなお花屋さん。後で見に来よ」
一旦自宅に帰り、着替えて商店街を目指す。
新鮮な野菜と魚、日本酒もじっくり選びたかった。
日曜だからか、商店街は人通りが多そうだ。
八百屋『おサルのお尻はまっかっか』も、お客さんで賑わっていた。
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