愛されたい症候群

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始まりは桜が満開の春。 私は貴方に出会った。きっと貴方にとっては何気ない出来事に過ぎないだろう。でも、私にとってはとても特別な日だった。 始めての出会いは校舎の入り口付近。私は自分のクラスを探して掲示板を見ていた。 「あの」 唐突に呼び掛けられた。振り返ると小柄な眼鏡の男子生徒が後ろに立っていた。 「これ、さっき正門で拾ったんだけど。君の…?」 彼は少し不安そうな顔をし、私に一冊の本を差し出してきた。  それは赤いブックカバーで、黒いクローバーの刺繍がされた本だった。 「ありがとう」 私は本を受けとると彼は笑顔で「よかった」と微笑み校舎の中へ走っていった。 ✱ 「んっはぁ」 「ちゅっ紫月ちゃんかわいい…もっと気持ちよくしてあげる」 彼は私の熟れた果実に肉棒を押し当てた。私は全身がゾクゾクと鳥肌立つような感覚に襲われた。 ゆっくりと私のなかに入る。その棒はとてもいとおしく、私の中が満たされていく──。 「はぁ…何度中に入っても凄いとろとろで吸い付いてくるね。そんなに俺の欲しかったの?」 彼が腰を動かす度にピストンされる感覚がたまらなく幸せだった。もっとその快楽を感じていたいと私は一生懸命腰を動かした。 「中…出してもいい?」 「あっ…はぁだめ…」 「…その顔、すごく興奮する。ごめん、無理そう」 「だ…め、んっ、危険日、なのっ」 「わかっ、た。じゃ、はぁはぁ、外にっ!うっ!」 激しくピストンしていた肉棒は、にゅるんと抜け勢いよく白い液体を飛ばす。 「ごめん、はぁ、はぁ、べたべたにしちゃった」 「はぁ、はぁ、いいよ。また、シて?」 私は私自身に飛び散った白い液体を指で取り、口へと運ぶ。 「ねぇ、今度は、中、いいよ?」 「いいの?俺との赤ちゃん、出来ちゃうかもよ?」 「……欲しいの。中に。私の中、いっぱいに満たして…?」 「…わかった。でも、誘ったのは紫月ちゃんだかららね?俺、責任とらないよ?」 そんなの、わかってる。責任なんて、とって欲しいわけじゃない。私が欲しいのは、『自分が必要とされてる事』偽りでも『愛されている』という、実感がある事。危険日なんて嘘。その方が、興奮してくれるでしょ?ただ、求めて欲しくて───。 ✱ 次の日の朝、クラスの席に着くと、友香に声をかけられる。 「何、ぼーっとしてんの?」 いつもと変わらない笑顔。中学生の時からの数少ない私の友人。 「別に」 素っ気なく返す私。それを見た友香はそっと耳元で 「あ、わかった。前言ってたあの子の事、考えてたんでしょ」 と囁く。 「やっちょっと…///」 ばれて慌てふためく私。それをみてにやにやする友香。いつもの日常。私は普段内気で、あまり誰かと話すタイプでは無い。黒髪でスカートも長いままの地味なタイプ。友香は、茶髪で髪をアップにして、スカートもそれなりに短めな明るいタイプ。運動も得意で、誰とでも気軽に話せる。 「可愛いなー。紫月は。男だったら絶対惚れてる!」 「もう、からかうのはやめて…恥ずかしい」 そんな話をしていると、チャイムがなり始めた。すると、前扉から先生が入って来て、 「おーい、うるさいぞー。みんな静かに。席に付けー」 「おっ、やばっ!波良じゃんっ。紫月、また後でね!」 急いで自分の席に戻る友香。実は、友香が密かに恋心を抱いている波良先生。脱力系でどこか気だるそうな人。全く、どこがいいのか私には分からない。私が好きなのはただ1人、あの時であったあの男の子だけ──。
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