地震、傘、贅肉。

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はぁ…はっくしょん! 混雑気味の電車の中で周りに響きわたる くしゃみをしてしまった。 薬を飲んで来なかった事を後悔する。油断していた。いい歳こいたおっさんが、マスクの中で鼻水を垂らしている、みっともない。 周囲の視線が集まる。警戒心と不快感を込めた視線。わずかにストレスを感じるがコロナ禍だ。しょうがない。 高血圧の薬をもらう為に平日に休みを取った。そちらに気を取られて、花粉症の薬の事はすっかり忘れていた。 余った時間で街の風景を撮る為に、新宿で降りる。 良く晴れた春の日。 駅ビルの巨大スクリーンが朝の情報番組を流している。今や移動しながらにして様々な情報が目に入る。いらない情報ばかり。うんざりだ。 あー、目が痒い。 春の嵐が花粉を舞い上げているのが見えるようだ。直径30μm(マイクロメートル)という目に見えない小さな花粉の粒子が、大気に混じって人間を苦しめる。マスクをしていなければ、日常生活すら困難だ。これでは薄い毒ガスだ。腐海の森の住人と変わらない。その上コロナ禍でウイルスは進化を止めない。薄い毒ガスは少しずつ濃くなって、少しずつ人間を浸食し始めているのかもしれない。 良く晴れた春の日。を心から楽しめなくなったのはいつからだろう。花粉症は本来なら人を守る免疫の暴走だ。天気予報を見る度に億劫になる。 東京に出て来て最初に感じたのは、新宿や渋谷、品川、池袋、いわゆる繁華街の匂いだった。悪臭だ。人が集まれば集まるほど、悪臭が強くなる。人間には毒気があって、それが密集するとあんな匂いになるのだと、真剣に考えた事もある。街の暮らしに慣れるにしたがって、その匂いも感じることは無くなったが、それはこちらに耐性が出来て鈍くなっただけなのか、それとも、そのあと爆発的にヒットした除菌、抗菌グッズや空気清浄機の進化のおかげか。そういえば心霊番組で、霊能者が除菌スプレーには除霊効果もある。なんてでまかせを言っていたが、あながち的外れでもないような感覚に囚われる。 「ロシアがウクライナに侵攻したとの情報が入りました。」 どんなに人が平和を願おうが 一人の独裁者の固執や偏執によって そんな理想世界はいとも簡単に瓦解してしまう 所詮平和など、絵に描いた餅だ。 良識者も無垢な子供も狂気に曝され 風の前の(ちり)と変わらない。 「ひとり殺せば悪人だが千人殺せば英雄だ。」 その言葉を残したのは独裁者そのものだろ。 戦争は悪人に免罪符を与える行為だ。 殺人も強姦も盗みもやりたい放題。 千人殺せば悪魔だ。  戦争を起こせば狂人だ。 俺が保証してやる。 地獄が口を開けて待ってる。 地獄の獄卒が優しく迎えてくれるはずさ。 善人なおもて極楽往生す いわんや悪人をや 善人さえ極楽往生するのだから 悪人が極楽に行けない訳がない それにしても ほんと善人は浮かばれない世の中だ。 甘っちょろい。 甘っちょろくて弱い。 被害者になる為に生きている善人。 加害者になる為に生まれてきた悪人。 どちらが幅を利かせて歩いているかは 一目瞭然。 世界は神を忘れて。 そして少し愚かになった。 弥勒菩薩の復活の頃合い。 いや…その前に世界は滅ぶのか… 40de3cec-4408-49e9-8492-48cbefbe1b63
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