俊と亮二

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 いつも自暴自棄というか何かに苛立ってた。自分の育った環境を考えれば当然かもしれないと、悲劇の主人公ぶってみたりもしたけど、あそこで育ったって腐ってない奴はきっと腐ってない。  何かに、誰かに出会えてないだけなんだ。  育った児童養護施設は園長がクソだった。私利私欲を満たすための施設。子供に愛情なんてない冷たい目。出される食事は菓子パン一個なんてことザラで、なにもない時もあった。  自然と夜の街を徘徊して、食い物を調達しようとする。腕っぷしが強ければどうにかなるんだって学び喧嘩に強くなっていった。    幸か不幸か可愛らしい顔立ちで生まれた自分の容姿も武器にした。  可愛らしい外見でひょいひょい騙される大人たち。良い大人に出会えてない俺が、大人を騙すことに罪悪間なんて持つはずない。  良いセンコーはいたけど、俺のいる養護施設がクソだってとこまでは気づかなかったからな〜。食い物くれたりしたからそこそこ良い大人。  段々喧嘩で負けることは無くなって、施設を出る年になって適当に働いて、気づけば自分より強い奴を求めるようになっていた。    明日は休みな金曜夜。今日も歩いてたら前から来た三人組の一人にわざとぶつかられ因縁をつけられた。  この辺の奴らは喧嘩っ早いのか、こんな奴ばっか歩いてる。あっ、俺もその一人か。  建設中のビルの駐車場に連れてかれ、腹に一発入れられた。金出せって言われたって、俺ろくな金持ち歩くほど持ってねーから、ないって言ったらサンドバッグ代わりになれってよ。  大人しくやられるわけないじゃん。  腹殴ってきたその腕を引っ張って体勢を崩した隙に顔面に膝蹴り。崩れて動けなくなったから残りは二人。 「………てめぇ!」 仲間やられて逆上してきた。手出したのそっちだからな?  冷静さを失った奴はやりやすい。怒りのままに突っ込んでくるだけだもんな。こっちは足上げて急所蹴り。ほぼお前が俺の足に突っ込んできたんじゃん?  さて、あと一人。 「うわぁぁぁぁぁ!」  え〜、仲間置いて逃げるのかよ…。友達無くすぞそこの名前も知らない人…。  どれ、財布の中身でも頂いて、今日の夕飯代にするか。 「強いね。でも危ないよ。可愛い顔殴られたら勿体無いじゃん」  駐車場の入口から声がしてそちらを見ると、この辺では見かけない高そうな服を着た奴が立っていた。イケメンというか顔面整ってる奴。こいつら手応えなかったから相手になってもらおうかな。 「お兄さんも試してみる?」  
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