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「依頼が入った。これが今回のターゲットだ」
このメガネ姿の最年長25歳の男が角屋裕司。この職場(?)のまとめ役といったところだろうか。
黒縁のメガネに透き通るような白い肌。日光を浴びた事がないんじゃないかと思われるくらいの不健康そうな透明感がある。
口数は少なく、要点だけを絞って伝える癖があるが、案外面倒見が良かったりする。
依頼は彼のパソコンのチャットルーム内でだけでのみ受け付けることになっており、依頼人とは顔を合わせない仕組みだ。合言葉は『XYZ』これを入力した相手と、メールでやり取りをする依頼方法になっている。
今回はどんな依頼なんだと待ち構えている向かいのソファーに座った2人に写真を渡す。
二人は並んで座っているわけではなく、片方が片方の太腿に両足を乗せている状態。
近くにいる時は、どこかしらは触れ合っていないと気が済まない。これが二人の通常運転だったりする。
要はバカップルって奴だ。
「ふ~ん、まぁまぁイケメンじゃ~ん」
軽い調子で写真を受け取り、隣の相方に渡す。
こいつが中谷亮二。ここでの一番の戦力。メインで動いてもらう事が多い。
身長174センチのほっそい身体に無駄なく筋肉がついている、所謂細マッチョってやつだ。
気楽なチャラついた語尾を伸ばした喋り方をしたりふざける事が多いが、一番キレやすかったりする。
中性的な可愛らしい見た目は、キレやすいがための緩和剤なのだろうか。見た目なんてのは当てにならない。年齢は23歳。隣で亮二に足を乗せられてる奴と同じ。
「涼ちゃん、俺にしたよりもイケメンなの?」
そして足を乗せられてるこいつは北条俊。
見てのとおり亮二の恋人。
身長179センチの高身長に、ちょっと見ないくらい造形の良い顔の作りをしている。
しかし本人あまり顔の事を自慢にしていない気さくなやつなのだ。天然な所もあったりする。そして、亮二を女神か何かと勘違いしてんじゃねぇかってくらい溺愛している。
「バカだなぁ俊はぁ。そんなわけないだろ。この世で一番カッコいいのは俊なんだからな。コラっ、どこ触ってんの」
一番カッコいいと言われ気分を良くした俊が亮二のケツを揉んだらしい。
話が進まない。
「お前ら、イチャつくんなら話の後にしろよ」
「「はーい」」
「で、こいつ何やったの?」
「結婚詐欺だそうだ」
「わぁお、ありきたり~。面白味が1つもないない、さっすが程々イケメン」
「タイミングよく2人から同じ依頼が入ってな、このターゲット1人につき2倍の報酬だ」
「みんな、この程度のに騙されちゃうんだ。口が上手いんだろうなぁ、かわいそうにー」
「涼ちゃん、依頼人は神様。笑っちゃダメだよ」
「俊がそう言うなら我慢するかぁ」
そう言いながら俊の肩に凭れかかったり、俊の髪をネジネジと遊んでいる。
俊は亮二を溺愛しているが、亮二は亮二で俊にべったりと依存している。こいつらがしている事を逐一報告すると話が進まず、二人のいちゃいちゃ記録で終わってしまう。
「先にターゲットの行動パターンは調査済みだ。決行は今度の土曜夜でいいな。ちなみにこいつバイだから、亮二。よろしくな」
「バイなの?余裕じゃん。なんだかそれって、やりがいないね」
「楽な仕事でお金入るんだからありがたいよ」
「俊がそう言うならそれもそうだね」
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