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ぼくは、いっそのこと雷の魔術で二人を撃とうとしていた……。
それとも、珪素関連の魔術で一時的に石化しようか?
どちらも命には別状はないんだし。
白花の奴隷の書もある。
だけど……。
「零! 凛と一緒に行って! 多分、この魔術は悪魔の書のはずよ。悪魔の書は誘惑の魔術を行使できるって聞いたことがあるの。その本を持つ人を凛に見つけてもらうの! 急いで!」
白花は悪魔の書を持つ本人を凛と共に探してくれと頼んできた。
「わかった!!」
ぼくは頷き。
軽度の頭痛のようだった凛を連れて、階下へと向かった。
階段を急いで駆け降りると、学園の生徒と教師が大勢。屋上へとバタバタと駆け上がって来ていた。
ぼくは生徒や教師を掻き分けて進む。
「ナニナニーー?! みんな操られているようになっちゃってるの?! それにしても頭痛すぎるんですけどー!」
「凛! しばらく我慢だ! この中で悪魔の書を持つ奴を探してくれ!」
「?」
「必ずいるはずだ! そいつが元凶だ!」
「うん? ううん? あれ? あれれ?」
凛は目を凝らして、大勢の生徒や教師たちを見つめた。
「うーん……? ナニナニ? もう一度。聞きたいなあー」
凛は頭を抑えながら、テレパシーで誰かの。いや、大勢の頭の声を聞いている。
けれど、実に巧妙な作戦だった。
生体電流はあの屋上の二人が放出しているから、悪魔の書を持つ奴はこの大勢の中に紛れ込んでいればいいんだし。あるいは、どこか別の離れた場所にいるのかもしれない。そして、生徒か教師か誰だかわからない。
本来ならば、この状況では魔術書を持った奴は絶対に誰にもわからないはずなんだ。
だけど! 知恵の書を開いた凛ならわかるはずだ!
「犯人の候補がたくさんいすぎて、余計に頭痛い!! 全部聞くのイヤ――」
「頑張れ! 凛! 後で何か奢ってやるから!」
「ホント! やりー! あーー、いたーーー!! 頭痛いけど、零。あいつよ!!」
「?!」
そいつは、第三カリタス学園の一人の教師だった……。
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